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【水害】今日(7月11日)は何の日? [社会現象]

今日、7月11日は何の日?
聞かれても、え?何の日だったっけ・・・
という人がほとんどだと思います。

大分朝倉市の豪雨水害の報道が日本中に流れている今だから
いうわけではありませんが、JR大糸線の根知、小滝、平岩、
そして北小谷の沿線エリアで大水害が起きた日なのです。

ウィンドウズ95が発売された1995年。7月11日の午後。
糸魚川市内は今までにない豪雨に見舞われていました。

大きな雨粒が高密度で降ってくる、「バケツをひっくり返したような」
という表現では足りないくらいの強い雨足。
水半分空気半分の状態で、外に出ている人は呼吸が難しいくらい。

そんな中でも糸魚川信号通信区社員は、
保線のレール交換準備のための信号ボンド・レールボンド取付の
作業を社員直轄で続行していました。

なぜ社員直轄?
なぜ雨をおしてでもボンド取付を?

それは半年前に起こったある災害が理由です。

阪神大震災。

1月17日に起こった地震によってJR西日本がもつ近畿圏の
多くの路線と山陽新幹線が不通に。

当然会社経営に与える影響は計り知れず、直接の被害がなかった
金沢支社としても、そして糸魚川信号通信区としても、
わずかながらでもできることを、ということになりました。

そして、それまで工事業者に発注していた
レール交換の付帯作業を直轄社員で実施し、
費用の支出を抑えていたのです。

業者のように手際がいいわけでもないし、人数も限られている、
他の仕事もあるわけで、間近に迫ったレール交換作業に
場当たり的に対応している状態。

雨など、環境が良くないとボンドの付きにも影響するのですが、
時間がなかったので雨をおして対応していたというわけです。

何とか取り付け作業を終わらせ、昼の勤務を終え、
夜勤にそなえ、いまはもうない寮(市内中央1-12-1)で
仮眠していた信通区社員の元に、構内コードレスの着信。

「大糸線の橋が流された。まだ出勤時間じゃないけど、
お前も来てくれ!」

夜勤準備のため先に出勤していたK助役からの電話でした。

出勤すると、既に先遣隊としてT助役とH主任の乗った車が
148号線を上り、小滝駅構内の現場に到着していました。

彼らから無線機で現場の状況が報告されます。

「橋が水にどっぷり浸かっている・・・」
「(橋のたもとの)場内信号機が大きく傾いた!」
「水が・・・、ポイントのところまで流れ込んできた!」

緊迫した生々しい声が区の無線機に響きます。
彼らの足元まで水が迫ってきたそのとき、

「もういい!退却!危険すぎる!お前らもう戻ってこい!」

とI区長。

その晩、降りしきる雨の中、区に出勤した社員は全員、
手も足も出ず。新たな被害発生に備え、待つしかできませんでした。

これが大糸水害(7.11水害)です。

その後、鉄道はおろか国道も復旧されないまま冬を迎え、
平岩地区をはじめ地域住民の生活に大きな影響をもたらしたほか、
国道の寸断を知らないスキー客が立ち往生するなどもありました。

小滝駅の向こうの橋脚は流され、平岩駅に至っては、
その両側の地盤がえぐられ、線路がハシゴ状態に。

そんな大糸線が復旧したのは、その3年後。
1998年、長野オリンピックの年でした。

そう。宇多田ヒカルがデビューし、上村愛子がまだ初々しかった、
あの1998年です。

この水害、阪神大震災の爪痕がまだまだ生々しかった
時期というのもあり、あまりニュースにもならず、
世間にもあまり知られていません。

水害の悲惨なところは、全てを洗い流すのではなく、
全てが無茶苦茶になるところ。
それは今起こっている水害の映像を見ても明らかでしょう。

大糸水害もそうだったのです。

今まさに起こっている水害で亡くなった人々に哀悼の意を
表するとともに、その水害にあえいでいる人々、
そしてそれに救いの手をさしのべようとしているすべての人に、
エールを送りたいと思います。








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